両側が同時にぶつかった。
空き地は拳と体の音で満ちた。 コンクリートを蹴る靴の音、誰かが金属フェンスに叩きつけられる音。 東卍のトップメンバーはバルハラの前列に突き込んでいった。 三ツ谷は一人ずつ、確実に倒した。 パーちゃんとペーちゃんは何も言わずに息を合わせて戦った。 場地のいない八番隊も、しっかり持ちこたえていました。
武道は群衆の中に入り込んで、圭介を探した。
見つけられなかった。 代わりに、バルハラのメンバーが武道を見つけた。 首が太い男で、武道の胸ぐらをつかんで、腕を上げる前に拳を頬に叩き込んできた。 武道は地面に倒れた。 また立ち上がった。 男がもう一度殴った。 武道の視界が二重になってしまった。
そのとき、後ろから手が伸びてきた。 三ツ谷がバルハラのメンバーを二つの動きで倒した。
「何でここにいるんだ」と三ツ谷は言った。 武道を見ないで、もう次の相手を探していました。 「集中できてない。前を見ないで、あちこち探してるだろ」
「場地を探さないといけないので——」
「ちゃんと見てないとまた地面に倒れるぞ」三ツ谷は離れていった。
武道は立ち直った。 振り向くと、バルハラのメンバーが二人、目の前に立っていた。 二人とも武道より頭一つ分背が高くて、武道を見る目が、場違いな場所に迷い込んだ小さな生き物を見るような目だった。
足が後ろに下がろうとした。
「俺が後ろにいる」千冬が肩の横に現れた。 「そんな目で見るな。ここにいる全員、怖いんだ。でも怖いかどうかは関係ない」
武道は日向のことを思った。 初めて会ったときの日向の顔。 その後の日向の顔。 自分がここに来た理由を思った。
武道は一歩前に踏み出して、拳を振った。
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空き地の向こう側では、数の差が出てきていました。 三ツ谷はドラケンの隣に下がって、はっきり言った。 バルハラのメンバーは年上で体も大きくて、数も二倍いる。 隊長たちは持ちこたえられるかもしれない。 でも下の隊員たちは無理だった。
ドラケンにはもう見えていた。 東卍の若い隊員が一人ずつ倒されていた。 諦めたのではなく、ただ相手が強すぎたのです。 ドラケンは乱闘の中を動いて、一人の少年の前に入った。 少年は腹を蹴られそうになっていたので、ドラケンは前腕でその蹴りを受けて、バルハラのメンバーを一発で倒した。
地面に倒れていた少年がドラケンを見上げた。 「すみません。隊長たちみたいに戦いたいけど、俺には——」
「俺が守る」ドラケンは言った。 「全員な。起き上がれるときに起き上がれ」
ドラケンは動き続けた。 東卍の弱い隊員たちをカバーして、バルハラのメンバーを引き離し続けた。 持ちこたえていたけれど、勝っているわけではなかった。
そのとき、武道の声が聞こえた。
武道は空き地の真ん中に立っていた。 唇から血が出ていた。 バルハラのメンバーたちを指差して叫んだ。 「戦いたいなら来い!全員来い!全員ぶっ潰してやる!」
武道の体を見たら、その言葉が通じるはずがなかった。 でも、片膝をついていた東卍のメンバーたちはその声を聞いた。 武道の言い方が、見栄を張っているのではなくて、誰も知らない理由から来る怒りのように聞こえたのです。 だから彼らは立ち上がった。 一人ずつ立って、また戦いに戻った。
ドラケンはもう彼らをカバーしなくてもよかった。
ドラケンは半間を見た。
半間はもう笑っていた。 首を回して、待っていた。 ドラケンは距離を縮めて、半間の顔に拳を叩き込んだ。 半間は足が浮いて、コンクリートの上を数メートル滑ってから止まった。
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一虎は万次郎を空き地の端にある廃車の山まで連れてきていた。 押し潰された車が積み重なった場所で、足場は不安定で平らな場所がなかった。
万次郎は迷わずについていった。
バルハラの隊長の一人が横から仕掛けてきた。 速くて角度のある攻撃で、普通なら当たるはずだった。 万次郎はそれを読んで受け、バランスを崩さずに力を流した。
一虎は上から見ていた。 「一対一の約束なんてしてないぞ」と一虎は言った。 「少年院にいた間、時間があったので使った。こいつらは千房と千目だ。今夜のために特別に連れてきた」
二人が前に出た。 千目は万次郎を見て言った。「噂になってる奴に会うと、大したことないもんだな」
千目は仕掛けた。 そしてすぐに、万次郎が大したことのない相手ではないとわかってしまった。 千目は下がって、もう一度考えた。
でも一虎の作戦は効いていた。 積み重なった車のフレームの上では、万次郎は足をしっかり踏ん張ることができなかった。 万次郎の蹴りは、地面がなければ使えない。 ここには地面がなかったのです。
千房が一方から、千目がもう一方から押し込んできた。 二人は万次郎の両腕をつかんで後ろに引き、万次郎を動けなくした。
一虎は鉄パイプを持って廃車の山を下りてきた。
万次郎の頭に叩き込んだ。
万次郎が倒れた。
近くで続いていた乱闘の音が、一瞬小さくなったように聞こえた。 見えていた人たちが、一瞬動きを止めた。
一虎は万次郎の上に立って、終わったと確信した。
万次郎の頭から血が出ていた。 万次郎は車のフレームに手をついて、身を起こした。
万次郎は一虎を見て聞いた。「俺はお前の敵なのか?」
一虎の中で何かが動いた。 長い間、聞かないようにしていた声が聞こえてきた。 昔の万次郎の声だった。 若かったころの万次郎が言っていた言葉——お前は俺のものだ。お前の痛みは俺のものだ。お前の苦しみは俺のものだ。
次に、別の声が聞こえた。 父親の声だった。 家具が壊れる音。 母親の沈黙。 その沈黙は、どんな音よりも辛かった。
「俺が少年院に入ったのはお前のせいだ」と一虎は言った。 「俺の身に起きたことは全部、お前から始まった。知らない人を殺したら、悪人だ。でも敵を殺したら——」一虎は万次郎をまっすぐ見た。「英雄になれる」
千房と千目がまた万次郎の両腕をつかんで後ろに引いた。
一虎はパイプを上げた。
「お前は、信一郎を自分の敵だから殺したのか?」
一虎の腕が止まった。
万次郎の声は落ち着いていた。 傷つけるために言ったのではなかった。 本当に聞きたいから聞いたのです。 ずっとずっと、答えが必要だった、本当の質問だったので。
千目は気づかなかった。 万次郎は頭を後ろに勢いよく叩きつけて、千目の顔に当てた。 千目の手が離れてしまった。 その同じ動きの中で、万次郎は体重を移動させた。 千房がまだ片腕を押さえていたけれど、万次郎は足を上げて、一虎の頭の横に蹴りを叩き込んだ。
一虎は強く倒れた。
パイプが金属フレームに当たって、音を立てて止まった。