ローマのサピエンツァ大学のキャンパスで、物理学部の二つの古い建物が向かい合って立っている。一つはラジオの発明者マルコーニの名前を持ち、もう一つは原子力時代の父フェルミの名前を持つ。昨年、その二つの建物の間で、科学者たちがある実験に成功した。光の粒子をテレポートさせたのだ。
量子テレポーテーションとは、物質やエネルギーを移動させるものではない。量子の状態を、もつれた光子のペアと通常の通信を使って、別の場所に転送する技術だ。光より速く何かが移動するわけではないが、光子の量子的な情報が一か所で消え、別の場所に現れる。
2025年11月17日に科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された論文によると、ドイツのパーダーボルン大学とイタリアのサピエンツァ大学が率いる国際チームが、異なる半導体量子ドット間での量子テレポーテーションに初めて成功した。光子の偏光状態は、マルコーニ棟とフェルミ棟の間の270メートルの空中を越え、82パーセントの忠実度で届いた。
この実験で難しかったのは距離ではなく、量子ドットだった。二つの量子ドットはそれぞれ異なる特性を持つため、磁場や圧電素子による機械的な歪みを使って光の波長を一致させた。チームはGPSや超伝導ナノワイヤ検出器なども使い、実験を成功させた。
研究者たちはこの成果を「将来の量子通信ネットワークに向けた重要な一歩」と表現している。