何十年もの間、科学者たちは宇宙にある普通の物質の量が計算と合わないことに悩んでいた。星や惑星、人間を作るプロトンや中性子などの物質を数えても、必要な量の半分も見つからなかったからだ。しかし、マサチューセッツ工科大学(MIT)などの研究チームが、この消えた物質がどこにあるかを突き止めた。
研究チームは、宇宙の遠くから届く「高速ラジオバースト(FRB)」という非常に強い電波の光を利用した。この光が宇宙空間を進むとき、薄いガスの中を通ると、光の波長によって地球に届く時間にわずかなズレが生じる。このズレを測定することで、光が通ってきた場所にあるガスの量を計算することができる。
研究チームは、カナダの電波望遠鏡「CHIME」が観測した2,870個のFRBのデータと、アメリカのアリゾナ州にある装置で作られた600万以上の銀河の地図を比較した。その結果、消えた物質は銀河の近くではなく、銀河から約400万光年も離れた広い宇宙空間に薄い雲のように広がっていることがわかった。
これは、銀河の中心にある巨大なブラックホールや超新星爆発が、物質を宇宙の奥深くへと吹き飛ばしていることを示している。研究者によると、宇宙の普通の物質の約75パーセントは、銀河と銀河の間の何もない空間に浮かんでいるという。この発見により、宇宙を形作る見えない構造がようやく明らかになった。