木曜日の朝、ブエノスアイレスの大統領府「カサ・ロサダ」に約60人の記者が訪れた。彼らは何年もの間使ってきた指紋スキャナーに指を当てたが、扉は開かなかった。政府が彼らの指紋を無効にしたのだ。
この措置のきっかけは、ケーブルニュース局のTNが放送したある映像だった。記者のルシアナ・ゲウナとイグナシオ・サレルノが、普通のメガネと見分けのつかないスマートグラスを使って、大統領府の内部をひそかに撮影したのだ。大統領府の警護を担う軍の部隊「カサ・ミリタル」は、4月19日に無許可で撮影が行われたとして、2人を「違法なスパイ行為」で刑事告訴した。映像には閣僚のマヌエル・アドルニの姿も映っていた。この件は連邦裁判官のアリエル・リホのもとに送られ、不法侵入や政治・軍事機密の漏洩などの疑いがかけられている。
政府の広報担当、ハビエル・ラナリはSNSのXで「違法なスパイ行為に関する告訴への予防措置として、記者の指紋を削除した」と説明した。
大統領のミレイ氏はアクセス禁止の前日、Xに2人の記者を大文字で批判する投稿をした。また「報道証明書を持つ記者の95%」を批判するなど、攻撃の対象を広げた。
国会議員のマルセラ・パガノは、この措置を「民主主義の回復以来、前例のない出来事だ」と述べ、ラナリとカサ・ミリタルの長であるセバスティアン・イバニェス准将を名指しした刑事告訴を行った。
アクセスを失った記者たちは「この決定は正当化できず、報道の自由への明らかな攻撃だ」と共同声明で述べた。国境なき記者団も、ミレイ政権下でアルゼンチンの報道環境が急速に悪化していると指摘している。