60年間、日本人の起源については「二つの民族」という説が定説とされてきた。縄文時代の狩猟採集民と、大陸から渡来した稲作農耕民が混ざり合ったという説だ。しかし、最新のゲノム研究がその常識を覆した。
理化学研究所の研究チームは、北海道から沖縄まで日本列島の7つの地域から3,200人以上のゲノムを解析した。その結果、これまで誰にも発見できなかった第三の祖先系統が見つかった。この研究は科学誌『サイエンス・アドバンシズ』に掲載された。
研究を率いた寺尾知可史氏は「日本人の集団は、多くの人が考えるほど遺伝的に均質ではない」と述べた。
第三の系統は北東アジアにルーツを持ち、東北地方に最も濃く分布している。研究者たちはこれを、かつて東北の森に住み、大和朝廷に長く抵抗した蝦夷と関連づけている。
地域ごとの分布も興味深い。縄文人の遺伝子は沖縄で28.5%と最も高く、西日本では13.4%まで下がる。西日本の人々は漢民族との遺伝的類似性が高く、古墳・奈良時代の大陸からの移住と一致する。
さらに、現代の日本人ゲノムにはネアンデルタール人やデニソワ人由来のDNA配列も含まれており、心疾患や糖尿病リスク、さらには薬の効き方にも影響する可能性があることがわかった。過去は現代医療の中にも生き続けている。