カリブ海からカナダ沖の冷たい海域にかけて、四つの係留観測点が二十年以上にわたって深海の動きを静かに記録し続けてきた。科学者たちは今、その観測データが示す結果を報告した。大西洋の深層海流「AMOC」は、調査したすべての地点で弱まっているというのだ。
2026年4月、科学誌「サイエンス・アドバンシズ」にほぼ同時に二つの研究が発表された。一つはフランスのインリア・ボルドー研究センターのヴァランタン・ポートマン氏が率いるチームによるもので、新しい統計的手法を用いて気候モデルの予測を改善した。その結果、中程度の排出シナリオのもとで、2100年までにAMOCが約51パーセント弱まる可能性があると予測された。これは以前のモデルが示した約32パーセントより大幅に高い数値だ。研究チームは今世紀半ばにAMOCが崩壊する可能性は「五分五分以上」だと結論づけた。
もう一つの研究は、マイアミ大学のシン・チェンジャン氏のチームによるもので、二十年分の実測データを分析した。北緯16.5度から42.5度にかけての深さ1,000メートル以下の深層流が、すべての観測地点で一貫して減少していることが確認された。
専門家たちは、グリーンランドの氷が溶けて北大西洋に流れ込む淡水が、海水の沈み込みを妨げ、海流を弱める主な原因の一つだと指摘している。ドイツのポツダム気候影響研究所のシュテファン・ラームストルフ氏は、AMOCが崩壊する転換点を超える確率は「50パーセント以上」だと述べた。
AMOCが大幅に弱まると、ヨーロッパの気候変動、アメリカ東海岸の海面上昇の加速、熱帯地域の降雨パターンの変化などが引き起こされると予測されている。