銀河は宇宙にランダムに散らばっているのではない。天文学者たちは長年、銀河がダークマターとガスでできた巨大な網目構造の交点に位置していると考えてきた。この構造は「宇宙の大規模構造(コズミック・ウェブ)」と呼ばれるが、これまで直接はっきりと観測されたことはなかった。
イタリアのミラノ・ビコッカ大学の博士課程学生、トルノッティ・ダヴィデ氏を中心とした国際研究チームが、この網目を構成するフィラメントの一本を、これまでで最も鮮明な画像として捉えることに成功した。
観測されたのは、宇宙空間を約300万光年にわたって伸びる水素のフィラメントだ。その両端には、中心部に超大質量ブラックホールを持つ銀河があり、クエーサーとして輝いている。このフィラメントから届いた光は、約120億年もの時間をかけて地球に到達したものだ。
撮影には、チリのアタカマ砂漠にあるヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡に取り付けられた「MUSE」という特殊な装置が使われた。研究チームは数百時間にわたって同じ空の一点を観測し続け、かすかな光を丁寧に積み重ねることで画像を完成させた。
トルノッティ氏は「フィラメントの形を正確に特定することができた」と述べた。さらに、観測結果はスーパーコンピューターによるシミュレーションともよく一致しており、現代の宇宙論モデルの正しさを裏付けるものとなった。この研究成果は科学誌「ネイチャー・アストロノミー」に掲載された。