エジプトの遺跡で、約1600年前のミイラから古代ギリシャの詩人ホメロスの叙事詩「イリアス」の一部が書かれたパピルスが発見された。この発見は、古代の埋葬習慣を理解する上で大きな意味を持っている。
バルセロナ大学などの研究チームが、カイロの南にあるアル・バハナサ遺跡の墓を調査したところ、ある男性のミイラの腹部の上にパピルスが置かれているのを見つけた。専門家が分析した結果、このパピルスには「イリアス」の第2巻に登場する「船のカタログ」と呼ばれる有名な場面が書かれていることが分かった。
これまでもこの遺跡からは多くのギリシャ語のパピルスが見つかっていたが、それらは魔法の呪文などが書かれたものがほとんどだった。文学作品がミイラの埋葬に使われていたことが科学的に確認されたのは、今回が初めてのことである。
このミイラが作られた時代、エジプトはギリシャやローマの文化が混ざり合う特別な時期にあった。研究者は、この「イリアス」のパピルスは、死者が次の世界へ行くときに守ってくれるように置かれたと考えている。英雄たちの物語が、一人の死者を守るために使われていたのである。