イタリアのトリノにある大聖堂には、イエス・キリストの遺体を包んだとされる「トリノの聖骸布」が保管されています。この布には、十字架にかけられたような男性の姿が薄く写っており、多くの人々を惹きつけてきました。最近、国際的な研究チームがこの布に残された遺伝物質(DNA)を分析し、興味深い事実を明らかにしました。
研究チームが最新の技術を使って分析したところ、布からは犬や豚、牛などの動物のDNAだけでなく、トマトやジャガイモ、ピーナッツといった植物のDNAも検出されました。ジャガイモなどは15世紀末にコロンブスがアメリカ大陸に到達した後にヨーロッパへ持ち込まれたため、この布が中世以降も様々な環境に触れていたことが分かります。
また、人間のDNAも発見され、その中にはインド亜大陸や近東、ヨーロッパにルーツを持つ人々の特徴が含まれていました。さらに、1978年にこの布のサンプルを採取した専門家自身のDNAも見つかりました。今回の研究は、聖骸布がいつ作られたかを証明するものではありませんが、この布が世界中を旅しながら、触れた環境の歴史を記録してきた「スポンジ」のような役割を果たしてきたことを示しています。