フランス北部のアルデンヌ地方の地下400メートルに、ダブルショーと呼ばれる巨大な検出器が設置されています。この装置は、目に見えない非常に小さな素粒子を捉えるために作られました。
近くにあるショー原子力発電所の2基の原子炉が17.2日間にわたって完全に停止した際、地下のセンサーは監視を続けました。その静かな期間中に、装置は約100回の小さな光の点滅を記録しました。これは「反ニュートリノ」と呼ばれる素粒子です。稼働を停止した原子力施設からこの素粒子が放出されていることを直接測定したのは、世界で初めてのことです。
反ニュートリノは宇宙で最も小さく、物質を通り抜ける性質を持っています。原子炉が動いている時は大量に放出されますが、停止した後も、残された放射性物質が崩壊を続けるため、わずかな量の素粒子が放出され続けます。このかすかな信号を捉えることは非常に困難でした。
ドイツのマックス・プランク核物理学研究所のアンソニー・オニヨン博士らの研究チームは、長年にわたる分析技術によってこの検出に成功しました。この成果は2026年8月に学術誌に発表され、理論的な予測とほぼ一致する結果が得られました。
反ニュートリノは遮ることができないため、この技術を使えば、外部から原子炉の内部の状態を監視することができます。将来、核物質が軍事目的に転用されていないかを検査するための重要な技術として期待されています。