2020年、小型車ほどの大きさの探査機が古代の火星の粘土層に穴を掘り、貴重な化学ツールを使って岩石サンプルを分析した。そのツールは任務全体でわずか2回しか使えないものだった。
それから6年後、ついにその結果が明らかになった。
2026年4月21日、科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表された研究によると、NASAの探査機キュリオシティが火星の岩石サンプルから21種類の炭素を含む有機分子を検出した。そのうち7種類は火星で初めて確認されたものだ。中でも注目されるのは、RNAやDNAの構成要素と同じ化学的な仲間である窒素複素環という分子だ。このような分子が火星表面で確認されたのは初めてのことだった。
サンプルは「メアリー・アニング3」と名付けられ、ゲール・クレーター内のマウント・シャープの麓にあるグレン・トリドンという粘土に富む場所で採取された。数十億年前、この場所は湖か川だったと考えられている。
「私たちは35億年間、火星に保存されてきた有機物を見ていると思います」と、フロリダ大学のエイミー・ウィリアムズ准教授は述べた。
今回の発見で特に重要なのは、分析に使われた湿式化学法が他の惑星で初めて実施されたという点だ。この手法により、質量分析計では読み取りにくい分子を検出できる。
発見された分子が古代の生命の痕跡なのか、地質学的なプロセスによるものなのか、あるいは隕石によって宇宙から運ばれたものなのかは、まだわかっていない。しかし、粘土層が有機分子を何十億年もの間保存できることが証明されたことで、将来の火星探査ミッションにおいて粘土の多い地域が重要な調査対象となった。