人間の細胞の中では、傷ついた遺伝子を直すシステムが常に働いている。しかし、このシステムが時に暴走することがある。アメリカのペンシルベニア州立大学の研究チームは、がん細胞が「EXO1」という修復タンパク質を多く作りすぎると、細胞を直すのをやめて破壊し始めることを発見した。
2026年に発表された研究によると、この破壊行動を利用することで、既存の効果的な薬を使って様々ながんを治療できる可能性があるという。研究を率いたジョージ=ルシアン・モルドヴァン氏らは、EXO1が過剰になると、新しく作られたDNAを攻撃して壊してしまうことを突き止めた。この破壊によって、がん細胞は「BRCA」という遺伝子に変異がある細胞と似た状態になる。BRCA変異を持つがんは特定の薬が効きやすいことで知られているが、EXO1が多いがんも同じ薬で治療できる可能性がある。これにより、副作用の少ない薬をより多くの患者に使えるようになるかもしれない。
研究チームは、今後臨床試験を計画している。モルドヴァン氏は「がんが発生した場所ではなく、遺伝子の特徴に合わせて治療を行うことが、これからの未来のがん治療だ」と語っている。