数十年にわたり、土星は物理法則を破っているように見えた。科学者たちの測定方法によって、この巨大惑星の自転速度がわずかに異なって見えたのだ。本来、惑星が年ごとに回転速度を変えることなどあり得ない。
イングランド、ニューカッスルにあるノーザンブリア大学のトム・スタラード教授は、「数十年間、土星の見かけの自転速度に何か奇妙なことが起きていると分かっていたが、説明できなかった」と語った。
今回、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使ったスタラード教授率いる国際チームが、ついにその謎を解き明かした。土星の自転速度は実際には変化しておらず、大気の高層に吹く強力な風が、科学者たちが自転の測定に使う信号を歪めていたのだ。
土星はガス惑星であり、固体の表面も目印もないため、科学者たちは磁場や電波放射から間接的に自転速度を推測してきた。2004年にNASAのカッシーニ探査機が観測を始めると、自転速度がゆっくりとずれているように見えた。
研究チームはウェッブ望遠鏡を使って土星の北極付近のオーロラを一日分継続観測した。オーロラが上層大気を加熱し、その熱が風を生み出し、風が電流を発生させ、電流がオーロラを強化するという自己持続サイクルが、測定信号を歪めていたことが判明した。
この研究成果は、土星だけでなく、他の惑星の大気の理解にも大きな影響を与えるとされている。