スペインでは近年、激しい山火事が問題になっている。しかし、ドニャーナ国立公園の近くでは、山火事の被害が出ていない。この場所を守っているのは、ヘリコプターや消火剤ではなく、18頭のロバたちだ。
「エル・ブリート・フェリス」という団体は、2014年ごろからロバを使って山火事を防ぐ活動を始めた。ロバたちは毎日、決められた場所で乾燥した草をたくさん食べる。ロバが草を食べることで、火が燃え広がるのを防ぐ「燃えない地帯」ができるのだ。ロバは羊や牛よりも硬い草を食べることができ、体重が重いため、歩くだけで乾いた草を踏みつぶすことができる。
この活動はボランティア団体「ムヘレス・ポル・ドニャーナ」の女性たちによって支えられている。彼女たちは、車が通れない山奥まで、ロバたちのために毎日重い水を運んでいる。国からの資金援助はないが、ロバたちが活動する地域では、約10年間も山火事が発生していない。
この成功はスペイン軍からも認められ、他の地域でも同じような活動が始まっている。かつて農業の機械化によって捨てられたロバたちが、今では気候変動に立ち向かう大切な存在になっている。