転移性膵臓がんと診断された患者の5年生存率は、わずか3%ほどだ。治療が難しく、最初の治療が失敗すると選択肢はほとんどなくなる。しかし、その現実を変えるかもしれない新薬が注目を集めている。
5月31日、シカゴで開催されたアメリカ臨床腫瘍学会(ASCO)の会議で、ダナファーバーがん研究所のブライアン・ウォルピン医師が驚くべき研究結果を発表した。会場は総立ちの拍手で包まれた。
新薬の名前は「ダラクソンラシブ」。経口薬であり、1日1回飲むだけでよい。世界規模の第3相試験「RASolute 302」には約500人の患者が参加した。この試験では、すでにがんが転移し、以前の治療に効果がなかった患者を対象に、新薬と標準的な化学療法を比較した。
結果は明確だった。新薬を服用した患者の生存期間の中央値は13.2か月だったのに対し、化学療法グループは6.7か月だった。死亡リスクは60%も低下した。また、腫瘍が縮小した患者の割合は31.6%と、化学療法の11.2%を大きく上回った。
副作用についても、新薬グループでは重篤な副作用が43.6%にとどまり、化学療法グループの57.5%より少なかった。副作用により服用を中止した患者はわずか1.2%だった。
この薬はKRAS遺伝子の変異を標的にしており、肺がんや大腸がんなど他のがんへの応用も期待されている。開発企業のレボリューション・メディシンズはFDAへの承認申請を進めている。