2026年6月10日、台湾軍は初めて台湾海峡の海上に向けてアメリカ製のハイマースロケットを発射した。APやCNNが報じた。台湾はこれまでにもこのシステムを試射したことがあったが、それは常に東海岸から太平洋に向けてだった。今回は初めて、発射台が西、つまり中国本土の方向を向いた。
発射は台中市近くの大甲渓の河口で行われた。陸軍第10軍団第58砲兵司令部が訓練を実施し、河口の北岸と南岸にそれぞれ3台の発射車両が配置された。命令から約3分以内に、ロケット弾は海上に向けて発射された。使用されたのは射程を短くしたM28練習弾で、本土には届かず、岸から約9キロメートルの地点に着水した。計36発が3回に分けて発射される計画だった。
この訓練の目的は、発射場所よりも発射の速さにあった。ハイマースは「撃って逃げる」という戦術で知られており、発射後すぐに移動して敵に発見されにくくする。台湾はロッキード・マーティン社が製造したこのシステムを使い、中国の侵攻に対する迅速な対応能力を試した。
台湾は中国と兵力の数では対抗できないため、アメリカの後押しを受け、小型で機動性の高い精密兵器を多数そろえる「非対称防衛」へと方針を転換している。中国は台湾を自国の領土と主張し、武力行使を否定していない。台湾陸軍の王明輝軍曹は「現在の脅威を踏まえ、台湾を守るためにハイマース訓練を続ける」と述べた。