黒から白へと続くグレーの帯を想像してほしい。一見シンプルに見えるが、この一本の線には約100年間、物理学の天才でさえ解けなかった謎が隠されていた。
1920年代、オーストリアのノーベル賞受賞者であるエルヴィン・シュレーディンガーは、原子から離れ、人間がどのように色を知覚するかという問題に取り組んだ。彼は色相・彩度・明度を数学的に説明しようとしたが、「中立軸」と呼ばれる黒から白へのグレーの線を証明せずに使い続けた。その未解決の部分は約100年間、そのままにされていた。
今回、ニューメキシコ州にあるロスアラモス国立研究所のチームが、ついにこの問題を解決した。科学者のロクサナ・ブジャックが率いる研究チームは、色空間の幾何学から中立軸を直接導き出すことに成功した。この成果は学術誌『Computer Graphics Forum』に掲載され、2025年のユーログラフィックス可視化カンファレンスでも発表された。
チームはまた、150年以上使われてきたリーマン幾何学に基づく枠組みでは不十分であることを示し、非リーマン空間を用いた新しいモデルを構築した。このモデルは「ベゾルド・ブリュッケ効果」など、従来の理論では説明できなかった現象も解明した。
さらに、色の感じ方は文化や経験によるものではなく、色空間そのものの構造に組み込まれていることも明らかになった。この研究は、デジタル画面の色再現や科学的な可視化の精度向上にも貢献すると期待されている。