月の南極にあるクレーターの奥深くには太陽の光が届かず、非常に冷たい温度が保たれている。ここには何十億年も前の水が氷として眠っていると考えられている。将来、宇宙飛行士が月で生活するためには、この水を見つけることが不可欠だ。
これまでは宇宙船で月の表面しか調べられなかったが、科学者たちは「月震」と呼ばれる月の揺れを利用して、地下深くにある氷の場所を特定する新しい方法を発見した。研究チームによると、隕石の衝突などで発生する揺れは、乾燥した砂よりも氷の中を2倍から3倍も速く伝わる。また、氷は硬い壁のように揺れを反射するため、センサーを使えば氷の量まで計算できるという。
アメリカのメリーランド大学のニコラス・シュマー准教授は、この技術が宇宙飛行士の生存に役立つと説明する。氷を溶かせば飲み水になり、分解すれば酸素やロケットの燃料も作れるからだ。研究チームは、地球上で月の環境を再現する実験を行い、この理論が正しいことを証明した。
2026年には中国の探査機が、2028年にはアメリカのアルテミス計画の宇宙飛行士が、この技術を使って月の南極で氷の調査を始める予定だ。月の氷を研究することは、地球の海がどのようにしてできたのかという謎を解く鍵にもなると期待されている。