宇宙で最も大きな銀河では、新しい星があまり生まれていない。この謎を解くため、研究者たちは銀河の中心にある巨大なブラックホールに注目した。ブラックホールが周りの物質を吸い込むとき、強い風が発生する。この風が、星の材料となるガスを吹き飛ばしてしまうのだ。
2023年に打ち上げられた宇宙観測衛星「XRISM(クリズム)」によって、この風の詳しい様子が初めて明らかになった。ミシガン大学の研究者であるシャン氏らは、地球から約5000万光年離れた銀河「NGC 4151」を観測した。
観測の結果、ブラックホールから吹く風には3つの速度があることが分かった。最も速い風は、秒速1万から10万キロメートルに達し、銀河の外へ物質を追い出すほどの力がある。さらに、この最も速い風は、ブラックホールからX線が放出された約2.8時間後に吹き始めることが突き止められた。これは、風が磁気の力によって発生していることを示している。
シャン氏は、X線のデータから風が発生するタイミングを予測する新しい方法を開発した。この研究により、ブラックホールがどのようにして銀河全体の星の未来を支配しているのかが、少しずつ解明されている。