メキシコ・ユカタン州の都市バジャドリッドにある16世紀のフランシスコ会修道院の地下に、マヤ語で「冷たい水の井戸」と呼ばれるセノーテがある。その暗い水の底に、鉄製の大砲が木製の台車に乗ったまま今も静かに沈んでいる。周りには150丁以上のライフルや火縄銃が、誰かが急いで投げ込んだまま約180年間そこにある。
メキシコの考古学者たちがこの遺物群を記録した。国立人類学歴史学研究所(INAH)の水中考古学部門が2026年2月に調査を実施した。これはシィス・ハー・セノーテと呼ばれる場所で、1847年から1848年にかけて、ユカタンのカースト戦争の初期にユカタン州政府軍が武器を投棄したとされている。目的は単純で、反乱軍の手に武器が渡らないようにするためだった。
水中考古学者のグスタボ・ガルシアは、数百枚の写真を重ね合わせて正確な3Dモデルを作る写真測量調査を行った。武器や陶器は今後も水中に保存される予定だ。水の化学成分が鉄や陶器を保護しているからだ。
しかし、セノーテの生態系には問題が起きている。地元のナマズが姿を消しており、帯水層の汚染が疑われている。INAHと地元の保護財団は、遺跡を守るために地域住民に協力を呼びかけている。