眠らず、疲れず、病欠もしないロボットが昼夜を問わず建設を続ける。それが孫正義のビジョンだ。
ソフトバンクの創業者である孫正義は、「ローズ」という新会社を設立し、約1000億ドル(約10兆円)の評価額でアメリカの株式市場に上場させる計画を進めている。フィナンシャル・タイムズの報道によると、一部の幹部は2026年後半の上場を目指している。
ローズの目標は独特だ。多くのAI企業がソフトウェアの開発に注力する中、ローズは自律型ロボットを使ってAIモデルを動かすための巨大なデータセンターを建設・運営しようとしている。
そのためにソフトバンクは、長年にわたって数兆円を投じて集めた資産を統合する予定だ。ローズはABBのロボティクス部門(約5400億円で買収済み)、チップ設計会社のアンペア・コンピューティング(約6500億円)、デジタルインフラ企業のデジタルブリッジ(約3000億円)を吸収合併する。さらにエネルギーや土地などの既存の資産も加わる。
ソフトバンクはオープンAIに3兆円以上を出資しており、ローズはそのデータセンター需要を満たす存在として位置づけられている。
しかし、社内では懐疑的な意見もある。1000億ドルという評価額や積極的なスケジュールを「野心的すぎる」と見る幹部もおり、中東の地政学的リスクも不安材料となっている。4月末時点で、ローズはまだ製品の発表も収益計画の開示も行っていない。
それでも、ソフトバンクの株価は2026年4月30日時点で年初から約18%上昇している。孫正義はこれまでも大胆な賭けを繰り返してきた。ローズは、ロボティクスとAIインフラという彼の二大関心事を一つに融合させた挑戦だ。