宇宙が誕生した直後のわずかな時間、世界には星も惑星も原子も存在しなかった。その代わり、宇宙は「クォーク・グルーオン・プラズマ」と呼ばれる超高温のスープで満たされていた。デンマークのニールス・ボーア研究所などの研究チームは、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)を使って、この初期の物質を実験室で再現することに成功した。
実験はスイスのジュネーブ近くにある巨大な施設で行われた。研究者たちは、非常に小さな原子核同士を衝突させ、陽子や中性子を溶かして元の自由な状態に戻した。このプラズマはすぐに冷えて消えてしまうため、直接見ることはできない。しかし、プラズマが壊れた後に飛び散る粒子の動きを分析することで、その形を知ることができる。
研究チームのニールセン氏は「影を見ることで、元の物体の形がわかるようなものだ」と説明する。また、周教授は「この方法により、原子核の構造と、宇宙が誕生した時に何が起きたのかの両方を理解できる」と語った。この研究は、初期の宇宙がどのように冷えて現在の複雑な姿になったのかを解き明かす重要な一歩となる。