記憶はいつも、彼の近くにいるときに最初に来ました。
1909年。 戦争は終わりに近づいていたけれど、大地はまだそれを知らなかった。 地面は死者で満ちていました。
リザは崩れた建物の外の土の上にひざまずき、手で石を動かしていた。 石を積み上げて、墓と呼べるものを作ろうとしていたのだ。 その下に埋めている子はイシュヴァル人だった。 名前は知らなかった。
ロイ・マスタングがそこで彼女を見つけた。 急ぐように言った。 部隊は移動するので、置いていかれてしまうと言った。
「私にとって、戦争は絶対に終わらない」と彼女は言った。 石を動かす手を止めなかった。
彼には答えられなかった。 彼女が何を言いたいかがわかったからだ。 その四年前、彼女は父の研究を彼に見せていました。 紙の上ではなく、自分の肌の上に。 父の研究が、娘の背中に一行一行刺青として彫られていたのです。 彼女が望んだかどうかに関係なく。 彼女はロイにその知識を与えた。 その知識がロイを変えていくのを見た。 そして彼女自身も、自分の意志で軍に入り、ここに来て、兵士として戦った。
どちらも、罪から逃れることはできなかった。
墓が完成したとき、彼女は彼に背中を焼くように頼んだ。 残酷さからではなく、慈悲から。 刺青の記録を消したかったのだ。 誰も読めないように。 世界に炎の錬金術師がこれ以上生まれないように。 自分が始めてしまったことを、せめてここで止められるように。
ロイはそれに従った。 二人の間にはずっとその重さがあった。 だから彼女が一人でいるとき、彼の名前を口にすると、他の誰の名前とも違う響きになってしまうのだった。
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セントラル地下の通路は狭くて暗く、古い石の匂いがしていました。 リザは指揮官の半歩後ろを歩き、拳銃を構えて影を見ていました。
それから銃を上げ、彼の後頭部に向けた。
「中尉」前にいた男は振り返らなかった。 声は平静で、注意深かった。 「説明しろ。」
リザは微笑んだ。 温かさは何もなかった。 「本物の大佐は、二人のときは私の名前で呼びます。」
少し間があった。 それから前にいた人物の体が動き、着ていたコートを脱ぐように、マスタングの顔を外した。
エンヴィーが盗んだマスタングの姿のまま、冷静なふりを怒りに変えながら、リザをにらみつけ、逃げようとした。
リザは頭を撃った。
「それは嘘だった」と彼女は言った。 「もうわかっていたことを確認するための。」
もう一度撃った。 また撃った。 最初の拳銃を撃ち切ってしまい、歩みを止めずに二丁目を抜き、それも撃ち切れば三丁目を出し、全部使い切ったらライフルを構えた。 ホムンクルスは弾を全部吸収し、黒い血を流しながら、そのたびに体が元に戻った。 通路の壁にぶつかり、跳ね返り、あれだけ撃たれた存在が動いていいはずのない速さで向かってきた。
掴まれてしまった。
「お前の体を彼のところに持っていってやる」とエンヴィーは彼女を持ち上げながら言った。 声には人間らしさが全くなかった。 「彼がわかるぐらいは残してやる。」
炎が、彼女が答えるより早く応えた。
左の通路から壁のような炎が来た。 意図的で、制御されていて、とても、とても怒っていた。 エンヴィーは叫んで彼女を落とし、炎が通路を追いかけて、岩に押し込んだ。
ロイ・マスタングが通路に入ってきた。 その表情は、机の前にいるときや、会議のときや、人に見せるための自分を演じているときの顔ではなかった。 それはそのすべての下にあるものだった。 目には一つの宛先があった。
「持ち場を離れたな」と彼はリザに言った。 「標的を見つけました」と彼女は言った。 彼はそれ以上言わなかった。 やることがあったから。
次に起きたことは、戦術的な意味での戦闘ではなかった。 段階的に行われた処刑だった。 標的が死を拒み続けることだけが邪魔をした。 ロイはエンヴィーを燃やして何もなくし、その何もないものをさらに燃やした。 ホムンクルスがついに再生をやめて乾いた灰になったとき、通路に一瞬の静寂が訪れた。
そのとき、灰の中で何かが動いた。 小さく、白っぽく、たくさんの足を持つ生き物だった。 エンヴィーの本当の姿で、片手に収まるほど小さく、壁の割れ目に向かってうごめいていた。
ロイの足がその上に踏み下ろされた。
彼は自分が敵を追いつめたものを見つめて立っていた。 その顔に浮かんでいたのは満足ではなかった。 とても長い道の終わりで、目的地に着いてみたら、ただの場所に過ぎなかったと気づいた人間の表情だった。
彼は手を上げた。
「大佐。」
リザがまた拳銃を構えていた。 彼に向けて。
「手を下げてください」と彼女は言った。 「もう十分です。私が終わらせます。」
「いや」とロイは言った。 彼女を見なかった。 「他の誰にもさせない。」
通路に足音がした。 エドとスカーが角を曲がってきて、一目で状況を把握した。 灰、ロイの足の下の生き物、リザの銃、ロイの上げた手。 エドは誰かが声を出す前に動いていた。
彼の錬金術が地面からその生き物を引き上げ、ロイの足の下から取り出して、エドの手の中に収めた。 ロイが振り返った。 その目の憎しみは完全なものだった。
「返せ」と彼は言った。 声はとても静かだった。 「返さなければ、オートメイルの腕を焼く。」
「自分の顔を見ろよ」とエドは言った。 引かなかった。 「今どんな顔をしてるか。そんな顔のまま総統になりたいのか。」
スカーがエドの後ろから言った。 「どの道を選ぶかをお前に言う資格は私にはない。その道が何かは知っている。だが、そんな顔をした人間が国を率いるのではない。国を燃やすのだ。」
ロイの上げた手は動かなかった。
リザは言った。 「あなたがこれに壊されるのを許しません。でも、あの生き物を生かしておくことも許しません。」 声は落ち着いていた。 大事なときには、いつも彼より落ち着いていた。 「もし引かないなら、私があなたを撃つことになってしまいます。」 一瞬止まった。 「それでも、あなたの後を追います。どこへでも。」
通路は静かだった。
ロイは彼女を見た。 目の奥で何かが動いた。 憎しみはまだそこにあったが、別の何かもそこにあって、それの方が強かった。
彼は手を下げた。
「すまなかった」と彼は言った。 リザへ。エドへ。スカーへ。すべてに対してそう思っていた。 リザを見た。 「銃を下げていい。」
彼女は下げた。
エドの拳の中の生き物がうごめき、笑いかもしれない音を立てた。
「お前たちって本当に」とエンヴィーは言った。 声は細く崩れていたが、軽蔑は変わらなかった。 「人間が憎しみを乗り越えた。互いを支え合った。」 言葉を醜くした。 「できるわけがない。お前たちの本質じゃない。何世紀も見てきた。お前たちはいつも互いを引き裂き合う。」
エドはしばらく手の中のものを見下ろした。
「お前は嫉妬しているんだ」と彼は言った。
エンヴィーが動きを止めた。
「そういうことだ」とエドは言った。 勝ち誇った感じではなかった。 難しい問題を解いてみたら、答えが悲しいものだったとわかった人間の声だった。 「俺たちに嫉妬している。お前たちにはさっき俺たちがやったことができない。互いを支え合うことができない。だから俺たちを憎んでいるんだ。」
「黙れ」とエンヴィーは言った。
「お前たちが人間を憎んできた理由はそれだ。俺たちが弱いからじゃない。お前たちにできない唯一のことが俺たちにできるから。」
「黙れって言ってるだろ!」
エンヴィーはエドの手から自分を引きちぎった。 ボロボロになった体にさらにダメージを与えてしまったが、気にしていないようだった。 通路の床に落ちて壁に向かって引きずった。 涙が流れていた。 本物の涙が、本物の顔に。 そしてそれが悔しくてたまらない様子で、エドが言ったことがすべて正しかったと確認するようだった。
「俺からすべてを奪ったマスタング」と彼は吐き出した。 「憐れみの目で俺を見たホークアイ。そしてお前」エドを見た。純粋で、どうしようもない憎しみを込めて。「俺を理解してしまったお前。」
彼は自分の胸の中に手を入れた。
「こんな屈辱は受けない。」
賢者の石を取り出した。 今夜ずっと彼を生かしてきた赤い核心を、自分の手で砕いた。
光が消えた。 灰が落ち着いた。 エンヴィーはいなくなった。
ロイは敵の残ったものを見つめた。 「臆病者だ」と言った。 勝利の響きは何もなかった。
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セントラル司令部の別の場所で、床が揺れた。 何か巨大なものが立ち上がったのだ。
スロウスがアレックス・アームストロングの最新の攻撃の瓦礫から起き上がった。 体を瓦礫の中から組み立て直しながら、何に対しても同じような無関心さだった。 秩序を取り戻しにきたセントラルの兵士たちはホムンクルスを見て固まった。 今この瞬間まで、弾丸が十分あればたいていの問題は解決できると信じていた男たちの、特別な恐怖を浮かべて。
オリヴィエ・アームストロングは固まらなかった。 すでに命令を出していた。
「弾丸では止められません」と彼女は言い、兵士たちの中を歩いた。 この状況でさえ対処できると生まれた頃から知っているような、指揮官の権威を持って。 「掴まれたら、上顎を破壊しなさい。それが生きたまま食べられるのを止める方法です。二人一組。各組が白い奴を一体倒す。名誉にかけて。」
白いマネキン兵が下の階からまだ流れ込んできていました。 兵士たちは彼女を見て、化け物を見て、また彼女を見た。 彼女の声が計算を簡単にした。 彼らは動いた。
スロウスは肩から瓦礫を振り落として、目標を思い出した。 少将。 彼女に向かって動いた。 アレックス・アームストロングがその前に立ちはだかり、攻撃を受けた。
最初の一撃で壁に飛ばされてしまった。 二撃目はすでに外れていた肩に当たった。 三撃目と四撃目は、まだ倒れている間に来た。 見ていたセントラルの兵士のうち何人かは、結果への信頼をなくし始めた。
「それでは死なないわ」とオリヴィエは、見ずに言った。
彼女の言う通りだった。 アレックスは正確に体を位置取りしていた。 打撃を角度を変えて受け、体を衝撃に合わせてひねり続けていた。 ついにスロウスの拳が外れた肩を正しい位置に戻してしまった。 骨が元に戻る音がした。
アレックス・アームストロングはより真っ直ぐに立ち上がった。
表情が変わった。
スロウスを殴り返した。 また殴った。 今度は錬金術も共に来た。 床から石の棘が飛び出してホムンクルスの体に刺さり、アレックスは両腕とアームストロング家の戦闘技術の全力と、もう失うものが何もないという完全な状態で戦った。
姉はそれを見て何も言わなかった。 言うことは何もなかったから。
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正門では、ブリッグズの戦車がセントラル司令部の正面壁に主張し続けていた。 クレミン准将は執務室で次の行動についての議論に負けつつあった。
「反撃しろ」と彼は命令した。 「砲撃。今すぐ。」 「閣下、道の向こうの建物の市民がまだ避難できていません。」 「命令したぞ。」
執務室の壁が爆発するように崩れた。
バッカニア大尉が部下を連れて穴から入ってきた。 一瞬で部屋を確認し、それからすでに勝った者の落ち着きでクレミンに向かった。
「将軍」と彼は言った。 「本日の命令はここまでです。」
クレミンは彼を囲むブリッグズの兵士たちを見た。 「どうやって入ってきた?通路はすべて地図にある。巡回もしている。」
「ファルマン少尉は」と兵士の一人が言った。 「この建物全体の間取りを暗記しています。すべての部屋。すべての通路。すべての裏道。」 少し間を置いた。 「それに入り口の通路は手で掘ったものです。一人で、一人だけで作業して。」
クレミンは彼を見た。 「不可能だ。距離が……」
「イズミ・カーティスです」とバッカニアは言った。 何が可能かという問いへの答えとして。
それで十分だった。
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さらに深く、通路や戦闘や上にある戦争の構造を越えた先、すべての中心にある部屋で、ヴァン・ホーエンハイムは闇の中から歩み出て、古い敵の領域の光の中に入った。
父が部屋の向こうから彼を見た。 驚いていないようだった。
「時間がかかったな」と父は言った。
「今ここにいる」とホーエンハイムは言った。 部屋を、それが意味するものを、何世紀もかけてこの瞬間のために作られ、犠牲にされ、用意されたものを見た。 彼の声には、長い間彼の中に生きてきた何かが込められていた。 「お前がしたことを恥じるべきだ。」
父は微笑んだ。 とても大きなものを作り終えた人間が、その仕事に満足しているような微笑みだった。
「お前は私から生まれた」と彼は言った。 「忘れたのか?お前の体も、血も、魂も、すべて私の中から始まったのだ。」 ホーエンハイムをほとんど懐かしむような目で見た。 「お前は私のものだ。ずっとそうだった。そして今」と彼は言った。 「お前は再び私の一部になる。」
ホーエンハイムは彼を見返し、動かず、まだ何も言わなかった。 これだけ長く待ったのだ。 もう少し待てるはずだった。