1918年、オーストラリア近くのロード・ハウ島に船が乗り上げ、クマネズミが島に侵入した。ネズミたちは島の生き物を襲い、かつてたくさんいた巨大なナナフシ「ロード・ハウ・トビナナフシ」は島から姿を消した。この虫は体長約15センチで、翅がなく、「ツリー・ロブスター」とも呼ばれている。長年、絶滅したと考えられていた。
しかし2001年、島から23キロ離れた孤立した火山岩「ボールズ・ピラミッド」で、30匹未満の生き残りが見つかった。絶滅を防ぐため、2003年に数組のつがいがメルボルン動物園に運ばれ、繁殖計画が始まった。その後、アメリカやイギリス、カナダの動物園にも協力の輪が広がり、数千匹にまで増やすことに成功した。2026年にはチェコのプラハ動物園でも初めて孵化に成功した。
このナナフシは、若い頃は緑色で昼に活動するが、大人になると黒褐色になり夜行性になる。また、メスだけで卵を産んで増えることもできる。ロード・ハウ島ではネズミの駆除が完了し、このナナフシを本来の生息地に戻す計画が進められている。100年の時を経て、ツリー・ロブスターが故郷に帰る日が近づいている。