2026年4月、アメリカのIT企業アンソロピックが「クロード・ミソス・プレビュー」という新しいAIを発表した。このAIは、ソフトウェアの欠陥を自分で見つけ出し、それを攻撃の武器に変える能力を持っていた。これに対し、アメリカ政府は国家安全保障上の理由から、このAIの一般公開を制限するよう命じた。
この事態を受けて、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5か国による情報同盟「ファイブ・アイズ」は、6月22日に緊急の警告を発表した。彼らによると、次世代AIの登場によって、デジタル攻撃と防御のあり方が根本から変わるという。
最も深刻なのは、脅威が進化するスピードだ。これまでは「数年」単位で考えられていたサイバー脅威のサイクルが、今では「数か月」単位に縮まっている。AIによって、攻撃者はより簡単に、そして大規模に攻撃を行えるようになる。さらに、開発者も気づいていない未知の欠陥(ゼロデイ脆弱性)をAIが自動で見つけ出す危険性もある。
この急速な変化に対応するため、アメリカのサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)は、政府機関が重要なネットワークの欠陥を修正する期限を「3日間」に短縮した。ファイブ・アイズは、企業も防御のためにAIを導入し、システムの安全性を高めるべきだと主張している。
すでにIT業界も動き出している。2026年6月には、オープンAIがセキュリティ対策に特化した「GPT-5.5-Cyber」を発表した。しかし、情報同盟の幹部たちは、単に新しいソフトを買うだけでは解決しないと指摘する。企業の経営陣が自らセキュリティ対策に関与し、基本的な対策を徹底することが求められている。